大寒を過ぎて、関東にも小雪が舞う厳しい寒さの日、学校から帰って、早く暖をとろうとしていた恵は、家の門に備え付けられた郵便ポストに、少し大きめな封筒が入れられていることに気付いた。わずかとはいえ、雪が降っている日だ。郵便物を、しっかりとポストの中に入れていってくれれば良いのにと思いながら、恵は封筒を取り出した。
寒さのおかげで、封筒の上にわずかに降り積もった雪は溶けていない。手袋を着けた手で封筒の雪を払うと、恵宛の封筒だった。
封筒を持って玄関に入ると、家の中は暗かった。
「ただいまー」
家の中に向かって帰宅の挨拶を口にしてみるが、母親はいないようだった。
部屋に入ると、すぐに石油ストーブに点火する。部屋の中も冷え切っている。
スクールコートも、襟元に巻いているマフラーもそのままに、手袋だけを外した恵は、封筒の記名を確認する。その名前を見たとたんに、恵の心が騒いだ。
「片倉出版社」
「ロリステップ」を作っている会社からの封筒だった。
急いで、机の中から鋏をとりだした恵は、丁寧に封筒の端を切っていく。
大きめの封筒の中には、一枚の便箋と、薄いピンク色をした別の封筒が納められていた。恵は、先ず、一枚だけの便箋に目を通していく。
「木元恵様、先日は「ロリステップ」への投稿ありがとうございました。またの投稿をお待ちしております。」
事務的な内容の文面。恵の書いた、異常な「自慰レポート」に対しては、何も触れられてはいない。少し拍子抜けしたような気持ちに包まれつつも、行を開けて書かれている、残りの文にも目を通す。


